羽田妃希は父の友人で地元球団の中日ドラゴンズで活躍された元プロ野球選手・岩瀬仁紀の薦めがきっかけでボートレーサーの道を志した。高校を卒業後、養成所に入所し130期のレーサーとして2022年5月当地でデビュー。同期の樅山拓馬・倉富大誠・荒木颯斗と共にこれからの活躍に期待がかかる中、アクシデントが起きた。デビューから約3カ月後の大村で開催のヴィーナスシリーズ。試運転中、急に膝が動かなくなり途中帰郷となってしまった。検査で半月板損傷と診断された羽田は治療のためレースを欠場。一時は試乗ができるまでに回復したが、怪我は自身の想像以上に悪く羽田は手術を決断した。手術後、懸命にリハビリに取り組みついに2023年5月浜名湖で復帰。大怪我から約9カ月ぶりのレースとなった。
　復帰後の羽田は初勝利を目指し日々奮闘。たくさんの経験を積む中で少しずつだが舟券に絡むレースが増えていった。そして2024年4月、復帰した浜名湖で初勝利を決める完璧なターンを魅せた。
　その節の羽田は3日目の予選を3号艇で出場。トップスタートから1周1マークで豪快にツケマイを仕掛けバックストレッチで1号艇とトップ争いとなった。初勝利を目指し1周2マークを果敢に攻めるも、1号艇が張ってターンを決め惜しくも2着。非常に悔しいレースとなったものの、レース内容自体は悪くなく次走に期待がかかった。そして予選が終了した開催5日目の4月10日、初勝利に燃える羽田は1回走りの中5号艇で出場した。
　レースは枠なりでスタート。0台のトップスタートを切った羽田は1周1マークをまくり差し。このターンが完璧に決まりバックストレッチで先頭へ。しかしすぐ後ろには1号艇が追走し続く1周2マークを先マイするも1号艇が差しで応戦。接戦が続く中、羽田は2周1マークで少し艇が暴れるもなんとか踏ん張りターン。対する1号艇も攻めようとするも3号艇が内を割って入ったことでスムーズなターンができず、その間羽田が一歩リード。その後も1号艇と3号艇が2着争いを繰り広げる中で羽田はしっかりとターンを決め、デビューから約2年、大怪我を乗り越え147走目で念願の初勝利を手にした。レース後、水神祭が行われ多くの仲間が初勝利を祝福。羽田は嬉し涙を流した。
　羽田は初勝利について「お世話になった人がたくさんいるので報告ができるのがうれしい」とコメント。師匠に現・長崎支部の原田幸哉、河村了、そして姉弟子に深見亜由美をもつ羽田だが、多くの人の支えや自身の努力によって初勝利を手にした。そしてこれからも師匠や仲間と共に切磋琢磨しファンに勝利を届けることだろう。