今月のおっかけフレッシュスターは中野仁照。初出走からわずか7期でA1級の座に登りつめたというだけでなく、2024年前期からは期別が変わるたびに毎回1点以上の勝率の伸びを見せ、2025年前期には6点台後半の勝率を叩き出すという、驚くべき成長を見せているルーキーの一人だ。そんな中野の3月は、びわこ一般戦で準Vの活躍、その次の2節は特別戦でGⅠとGⅡに出走と、なかなかに濃い1カ月となった。今回はびわこでの活躍を中心に、その航跡を追っていく。
　まず、1着を収めた準優勝戦を中野は1号艇から出走。枠なりで始まったレースで中野はコンマ05のトップスタートという最高の出だしを決めてみせる。1周1マークを経て、真っ先にバックストレッチに躍り出た中野は首位を独走。2号艇・下河誉史の猛追に動じず悠々と先頭を走行する。誰にも首位を譲ることなく124でレースは決着。中野は危なげなく優勝戦への切符を手に入れてみせた。
　優勝戦では、中野は3号艇から出走。レースは枠なりで開始。中野は1周1マークを巧みなターンで回り、バックストレッチで2番手の座を手にする。そんな2番手を奪取しにかかったのが、準優勝戦のリベンジを狙う4号艇・下河誉史。舳先を並べて激しい2番手争いが続くが、2周ホームストレッチで中野が一歩リードする。2周2マークの攻防を経て2番手を確実なものにした中野は下河のリベンジの阻止に成功。レースは134で決着。優勝こそ逃したものの、準Ｖという2回目の優勝に王手をかける結果を残した。
　今回取り上げたレースで驚くべきなのは、中野は今までびわこの水面を得意としていなかったという点である。びわこでは、出走回数が少なかったというのもあるが、前回の2023年5月の出走まで舟券に絡む結果を一度も残せていなかった。だが、今回紹介したレースでは初日の4着を除いて、1着が5回のオール3連対という結果を残しており、明確に成長していることがうかがえる。この成長速度と、前回出走から1年以上経過した場にも対応しきる適応力は、目を見張るものがある。優勝数はまだ少ないが十分なポテンシャルを持つ中野には、この調子で経験を積み重ね、グレードレースでも大きい結果を出すことに期待したい。